札幌に居を構え「酒好き」なら皆知っている店。酒場の原点。昭和元年創業。その名を「第三モッキリセンター」という。昔はモッキリセンターのような名前の店が多かったそうで、元祖であるにもかかわらず「第三」と銘を打ってオリジナリティーを出したそうだ。今もなお札幌の大衆酒場の横綱として君臨する。頼むべき料理も好みにより様々だが、私は心も体もあたたまる「湯豆腐」が一押しメニューだ。常連客は焼酎の4lボトルをキープして格安に飲む。4lボトルなど他の飲食店ではあまり見たことはない。きっと商売としては、割に合わないはず。だけどお客さんのため、常連のためそんなサービスもしてしまう心意気。大好きな酒場である。
地下鉄南北線「大通」駅から徒歩8分、東豊線「大通」駅から徒歩5分「バスセンター」の裏に暖簾がある。
混んでいて待たされることもあるが、大抵はすんなり入れる。
2月上旬、6時頃暖簾をくぐった。大衆酒場の基本図、おおきな「コの字」のカウンターが迎えてくれた。今日は少し待たされたあとで「コ」の字の2画目書き出しのところの席に案内された。
最初はやはりビール。今日も「湯豆腐」は来店前から注文を決めていた。ほかは決めていなかったのでメニューに目を通す。「ポテトサラダ」と「鶏串」を注文した。
ビール⇛ポテサラ⇛湯豆腐の順に届き、届いた順にいただいた。どれもうまい。安定の味である。「湯豆腐」は店に来たら必ず注文しないと損な気がする一品だ。北海道は外気が寒いので「湯豆腐」は道民の心と体をじんわり温めてくれる。この瞬間、この空間が「あずましい」。(北海道弁で「居心地がよい」と言う意味です)
いつ来てもいいなぁこの雰囲気。「第三モッキリセンター」。いろんなおじさんたちもみんなおとなしくて、マナーが良い。ビールが空いた。2杯目の注文は「日本酒、冷」を注文した。これぞモッキリセンターの「モッキリ」。鶏串と日本酒が届いた。鶏串と日本酒。この組み合わせを日本人は何百年愛しているのだろうか?この店にはテレビがある。大衆酒場にはテレビが有ることのほうが多い。音声は無い。今日北海道や世界で起きた「ニュースを見ながら」「日本酒を飲みながら」「焼鳥を食べながら」箸を進めた。
「牡蠣フライ」と「たまご焼き」を追加注文し、「日本酒、冷」も追加注文した。
店舗奥の小さなテレビで今日のニュースを音声無しで見る。今日の反省。あしたへの心の準備。そんな時間を「第三モッキリセンター」で過ごす。
3杯目で終わりにしないと、と終わりを決めた。
約一世紀、札幌の酔っぱらいを笑顔で迎えてきた「第三モッキリセンター」。今もなお、大衆酒場の人気店として元気に営業している。風格すらただよう、刻んだ歴史の数だけ笑顔があり、涙があり、出会いがあり、別れがあっただろう。そんな尊大な歴史のほんの僅かの片隅に居させてもらえるだけでもありがたい。
店名 | 第三モッキリセンター |
住所 | 札幌市中央区東2丁目 |
電話番号 | 011-231-6527 |
予約可否 | 予約可 |
営業時間 | 月~金:14:00~22:00 |
土 :13:00~22:00 | |
定休日 | 日曜・祝日 |
支払方法 | 現金のみ |
スタイル | そば,大衆酒場 |
呑み放題 | なし |
お通し | なし |
焼き鳥の単位 | 2本セット |
席料 | ¥110 |
予算 | ¥2,000 |
喫煙可否 | 全席禁煙 (喫煙店外) |
利用シーン | 一人で入りやすい |
男女比 | 男9 : 女1 |
中心客層 | 45~65歳 |
にぎやかさ | 落ち着いている |
食べログ | 3.49 |
4.2 | |
創業 | 1926年 |
追悼:今年に入って早々、先代(2代目)の店主がお亡くなりになられたそうです。気さくで、いつも笑顔が絶えず気配りされていた姿がいまでも鮮明に脳裏に焼き付いています。今まで気配りを、笑顔をありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。
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